名古屋愛あふれるビルにふさわしい地元発豚骨ラーメン店

ランチ

2021.04.21

Written by 大竹敏之

地元の実力店を誘致したレストラン街を象徴する1

大名古屋ビルヂングには地元民としていつも愛着を感じています。なぜならビルにもまた深い名古屋愛があるから。旧ビルは昭和37年、伊勢湾台風からの復興を目的に建てられました。平成27年に建て替えられた際にビル名をそのまま引き継いだのも、当時の思いを受け継ぐためだったといいます。

レストラン街も「大名古屋ダイニング」とビル名にならったネーミングで、店舗構成にもやはり地元愛が感じられます。名古屋、愛知の商業施設初進出となる実力店がいくつもあり、他にはないラインナップになっているのです。

その象徴的な一軒がその名も「大名古屋一番軒」です。同ビルにオープン当時、ラーメン好きの間では既に行列ができる店として知られた存在でしたが、商業施設はもちろん都心部での出店もここが初めてで、筆者も「これでより気軽に食べに行ける!」とうれしく思ったのを覚えています。

以来、同ビルの飲食店の中で最も多く足を運んでいます。平日ランチタイムに訪れた某日は、10人ほどの行列が。コロナ禍にあっても客足は確実に戻っているようで、待たされるのもまたうれしく感じます。

名古屋の豚骨ラーメン先駆店にふさわしい味わい

席へ通されると「お客様ご来店です!」「ごゆっくりどうぞ!!」と店員さんの元気なかけ声。この体育会系のノリも、ガテン系グルメの豚骨ラーメンへの期待感を膨らませてくれます。

豚骨ラーメンは白、黒、赤などのスープがあり、この日は基本の白を。麺は博多麺と自家製中華麺があり、こちらはいつも中華麺の固さ「ふつう」を。スープはその日の気分で、麺は本場・博多にはないものをチョイスするのがマイルールです。

スープは熟成感のある深いコク、そしてクリーミーなまろやかさが。本場・博多はもちろん名古屋でもいろいろな店の豚骨ラーメンを食べていますが、ここはとりわけバランスがとれていて、万人ウケしつつもクセになる魔力も合わせ持っていると感じます。チャーシューはぶ厚く柔らか。メンマはやわシャキ。煮卵は黄味がとろりとした半熟加減が絶妙。具のひとつひとつもぬかりありません。

半分ほど食べたところで高菜、紅ショウガをトッピング”。辛味やさっぱり感が加わる“味変”を楽しみます。

この日はサイドメニューの唐揚げも注文。こぶし大とまでいったら大げさですがかなりのビッグサイズ。衣はカリッ、中はジューシー。甘酢ダレをつけるとさっぱり感も加わります。

大満足したところで、以前この店の“総大将”こと三木さんからお聞きした言葉を思い出しました。「東京1号店を出す際に味をいっそうレベルアップし、次に出したこの店では名古屋の人に受け入れられるようさらに微妙に味を変化させたんです」。

ここでもしっかりと息づいている名古屋愛。「お客様お帰りです!」「あり(がとうございま)ッした!!」とこれまた威勢のいい声に送り出されつつ、やっぱりここは大名古屋ビルヂングにふさわしい一軒だとの思いを強くしたのでした。

※サイト内に掲載されている価格は、
すべて税込価格です。 
※掲載情報は、情報公開日時点のものとなります。
予めご了承ください。

ランチ PROFILE

大竹敏之(おおたけとしゆき)

名古屋在住のフリーライター。雑誌、新聞、Webなどに名古屋情報を発信。『名古屋の酒場』『なごやじまん』など名古屋の食や文化に関する著作多数。Yahoo!ニュースに「大竹敏之のでら名古屋通信」を配信中。

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