抜群にうまい焼き鳥と多彩な酒のマッチングを楽しむ

ディナー

2021.05.05

Written by 大竹敏之

まずはおまかせセットで素材のよさをシンプルに

「うまい焼き鳥ならココ!」。そんな評判が耳に届いた頃には、店が常に満席になっていたレアル。創業して10年ほどですが、名古屋の酒場好きの間での評価は既に確固たるものがあります。

藤が丘や星ケ丘の店には何度か足を運んだことがありましたが、大名古屋ビルヂングの「レアルgrande」は初訪問。商業施設1号店ということで、それまでの店舗と比べると看板が派手でおしゃれ!しかし、カウンターの目の前で串を焼くライブ感、活気ある雰囲気はこれまで訪れた姉妹店と変わりありません。

焼き鳥はセットがいくつかあり、おまかせ4種×2=8本のラウールセットを注文(ネーミングの多くは海外サッカー好きのオーナーの趣味が反映されている。店名はレアル・マドリードから。メニューは他にジダンセット、ロナウドセットなど)。部位はその日のおススメからのチョイスですが、あらかじめ苦手なものがないか確認してくれるので安心です。クラフトビールでのどをうるおし冷奴(長久手・冨田豆腐店の名古屋とろーふ豆腐。これがまたもっちもちでウマい!)をつまんでいると、「はつ、どうぞ!」とカウンターごしに焼き立てが。ちょっとレア感を残したはつ(心臓)は、弾力があってジューシー!その後もほどよいタイミングで砂肝、せせり、ささみ柚子胡椒が出てきます。

ひと手間かけた串メニューで酒のチョイスも広がる

素材の持ち味をシンプルに堪能できるセットの後は、ひと手間を加えた串メニューを追加。レンコン入りでほくっとした食感が小気味いいつくね、味噌タレが香ばしい豚みそさがり、バジルがさわやかなプチトマトジェノベーゼ。味わいが多彩なので合わせるお酒の幅も広がり、2杯目はロゼワイン、3杯目は将来スペインに出店する時に広めたいというシェリー酒のハイボール・レブヒートを。焼き鳥とお酒のマッチングも楽しめるのはこの店の大きな魅力のひとつです。

 

焼き鳥はシンプルゆえに店ごとの差が出にくい料理だと思うのですが、レアルでは明らかにひと味違うおいしさを感じられます。素材のよさに加えて、炭の香りを適度につけつつ火を通しすぎない焼き加減、こってり過ぎないタレ、三位一体のバランスが絶妙だからなのでしょう。「焼き鳥屋でも行こうか」ではなく、「レアルの焼き鳥を食べたい!」と思わせてくれるのです。

ふんわりした握り加減のおにぎり、熟成シェリー酒をかけた大人のバニラアイスと、〆やデザートもちゃんと手間や工夫を感じられてぬかりなし。最後まで満足感が落ちることがない、これは大事です。

平日の来訪でしたが、店内は1人客からカップル、少人数のグループなど終始客足が途絶えることなく、酒場らしいにぎわいに包まれていました。郊外で人気を博した新興勢力が都心の名古屋駅でも堂々と変わらぬ魅力を発揮し、多くの人に認められているのはうれしい限り。名駅だから誰が相手でも誘いやすいし今度は誰と一緒に‥‥。店を出たとたん次の来店への期待が膨らむ、これぞいい酒場の証です!

※サイト内に掲載されている価格は、
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ディナー PROFILE

大竹敏之(おおたけとしゆき)

名古屋在住のフリーライター。雑誌、新聞、Webなどに名古屋情報を発信。『名古屋の酒場』『なごやじまん』など名古屋の食や文化に関する著作多数。Yahoo!ニュースに「大竹敏之のでら名古屋通信」を配信中。

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